こんにちは、ただほんです。
今日は『神薙虚無(かんなぎうろむ)最後の事件』を読んでみた!をお送りします。
はじめに
著者の紺野天龍(こんのてんりゅう)さんについて、
第23回電撃小説大賞に応募した「ウィアドの戦術師」を改題した『ゼロの戦術師』で2018年にデビュー。
他の著書に新機軸特殊設定ミステリとして話題となった『錬金術師の密室』『錬金術師の消失』、『シンデレラ城の殺人』なとがある。新時代本格ミステリの書き手として期待される新鋭。
本書は、2012年にメフィスト賞座談会に掲載された『朝凪水素最後の事件』、第29回鮎川哲也賞最終候補となった『神薙虚無最後の事件』をプロトタイプとし、全面的に改稿した作品である。
本書より
とにかく面白かったです!
物語の中でいくつもの推理があり、名探偵たちが謎を解き明かしていきます。
本書のことを、知念実希人さんが「粗削りながら燦然(さんぜん)と輝きを放つ才能の原石。瑞々(みずみず)しく魅力的な多重解決ミステリをご堪能あれ!」と書き、
阿津川辰海さんが「名探偵の信念と贅沢(ぜいたく)な趣向。これは、懐かしくも幸福な玩具箱(おもちゃばこ)だ。」
と本の帯で言っております。
とにかく、おもちゃ箱のように次から次に楽しい推理が出てきて、多重のミステリが開かれていく物語です。
面白くないわけがありません!
物語は二重構造になっていて、過去の話と現在の話があります。
あらすじ
オルゴール館に封印された謎が、今、開かれる。
大学二年生の白兎(はくと)と、彼が淡い恋心を抱く後輩の志希(しき)。二人は路上で倒れ込む唯(ゆい)と出会う。
彼女が手にしていたのは、唯の父、御剣大(みつるぎまさる)が、著した20年前のベストセラー『神薙虚無最後の事件』。
「神薙虚無」シリーズは、実在した名探偵·神薙の活躍を記したミステリで、最終巻では解かれるべき謎を残したまま完結し、好事家の間では伝説となっているという。
白兎と志希は、大学の「名探偵倶楽部」に所属する金剛寺(こんごうじ)らと作品に秘められた謎を解こうとするのだがー。
過去と現在、物語の中と外、謎が繋がり、パンドラの箱が開くとき、目にするのは希望か絶望か!?
多重解決&作中作ミステリの新たな金字塔が誕生!
本書帯より
作中作の作品では、「カササギ殺人事件」などが思い出されますが、それとはちょっと違った作品です。
作中作ミステリですが、過去のミステリを今現在の人たちが、解き明かして推理していく話です。
『神薙虚無最後の事件』という本があり、その本の中で「名探偵」と「怪盗王」が相対しています。
「怪盗王」の誘いで、オルゴール館に集められた「名探偵」たち。
「名探偵」を呼び寄せたオルゴール館で殺人事件が起こります。「怪盗王」が殺されてしまったのです。
その事件のときに、オルゴール館は焼け落ち、謎を残したまま物語は終わりを告げます。
そこに残された謎を、現在の「名探偵倶楽部」の大学生たちが解き明かしていくのです。
登場人物
現在、「名探偵倶楽部」
- 金剛寺煌(こんごうじきら)…東雲(しののめ)大学理学部四年。天才。
- 来栖志希(くるすしき)…東雲大学薬学部一年。志希の兄は名探偵だったが、事件を解決してしまうことで、人を不幸にしてしまうことに悩み、失踪してしまう。
- 雲雀耕助(ひばりこうすけ)…東雲大学工学部二年。金剛寺には「うんじゃく」と呼ばれている。
- 御剣唯(みつるぎゆい)…東雲大学文学部一年。御剣大と星河かぐやの娘。
- 瀬々良木白兎(せせらぎはくと)…東雲大学薬学部二年。語り手。主人公。金剛寺には「助手」と呼ばれている。
『神薙虚無最後の事件』登場人物
- 神薙虚無(かんなぎうろむ)…欠陥探偵。
- 星河かぐや…探偵姫。
- 渡良瀬鈴子(わたらせすずね)…調停者。
- 水守稜湖(みずもりいずこ)…守護者。
- 御剣大(みつるぎまさる)…観測者。本の著者。
- 久遠寺写楽(くおんじしゃらく)…怪盗王。天蓋症候群。
- 十六夜紅海(いざよいくれみ)…メイド長。第一使徒。
- 空峰美満(そらみねみちる)…メイド、第二使徒。
- 秋山大地…メイド、第三使徒。
- 月見里読子(やまなしよみこ)…メイド、第四使徒。
- 沖影綸理(おきかげりんり)…メイド、第零使徒。
名前が独特で読みづらいですね。虚無なんかキョムですから、ウロムなんて読めませんね。
『欠陥探偵』ってどういう意味なのかも最後まで読めば分かります。
書評と感想
御剣唯(みつるぎゆい)が自分は御剣大(みつるぎまさる)の子供ではないのではないか?と悩んで、「名探偵倶楽部」の人たちに『神薙虚無最後の事件』を解き明かしてほしいと言ってきます。
そして、過去の事件を解き明かし推理していきます。
まず、主人公の白兎。
次に雲雀耕助。
そして、天才·金剛寺煌。
金剛寺煌ってはじめ男だと思っていました。推理が進み、読んでいくと、女性であることが分かりました。
男でも女でも行けそうな名前ですね。
推理合戦が面白いです。雲雀の推理はないなって思ってしまいましたが…。
それぞれの推理が超面白いですね。
最後に、急きょ参戦する、来栖志希。
来栖志希の推理で締めくくりです。
一冊の本の中で4つの秀逸な推理が読めて幸せでした!
そして、星河かぐやの解き明かしがあり、物語は終わりを告げます。
ミステリ好きにはたまらない内容になっております。
「名探偵」「怪盗王」とか名前だけでもワクワクしますし、
誰が現在の「名探偵」なのか?
金剛寺煌なのか?
それとも、来栖志希なのか?
個人的には、金剛寺煌は先の先を行っている天才だなと思ってます。
主人公·瀬々良木白兎は語り手でいい味出しております。
是非、読んでみてください!
決して、買っても損はしない面白いミステリ小説ですよ。
2023『このミステリーがすごい』大賞作品「名探偵のままでいて」もおすすめです!
コメント