御手洗潔シリーズ「御手洗潔の挨拶」短編集だが面白い！

御手洗と私(石岡)は、最初の事件の本「占星術殺人事件」の出版がすんなり決まり、初版の印税が入ったこともあって、綱島から横浜馬車道へと引っ越しの準備を勧めている頃、突然、竹越刑事の訪問を受ける。

「ちょっと相談できないかと…」

四谷にある吹田電飾という、小さい看板屋の社長・吹田久朗51歳が会社で殺されたと言う。凶器はその会社にある大型の登山ナイフ。

そして、そこは密室になっていて、裏木戸には3桁の『数字錠』がついていた。

容疑者は会社のトラック通勤の社員四人と、家から通う社員一人。それと、社長に恨みを持つ二人の男。

御手洗はこの『数字錠』の謎を解き明かすことができるのか!?

• 御手洗潔(みたらいきよし)…占い師。私立探偵。
• 石岡和巳…御手洗の親友であり、助手。
• 竹越文彦刑事…「占星術殺人事件」て知り合った刑事。難事件の助けを御手洗にお願いしに来る。
• 吹田久朗…吹田電飾の社長。密室で殺害される。
• 北川幸男…吹田電飾の社員。社長の次に仕事ができる人。妻帯者で家から通っている。
• 石原修造…遊び人。吹田久朗に株のことで恨みあり。
• 馬場和夫…サラリーマン。同じく吹田久朗に株のことで恨みあり。
• 秋田辰男…トラックで寮から通勤する吹田電飾の社員。シャッターの鍵を持っている。26歳。
• 大久保修一…トラックで寮から通勤する吹田電飾の社員。24歳。
• 土屋純太郎…同じくトラック組。21歳。
• 宮田誠…トラック組。17歳。
• 吹田吉文…吹田久朗の兄で、夫婦で寮を管理している。
• 吹田靖子…吹田吉文の娘。

• 僕(タック)…アルトサックスを公園で吹き練習する男。ジャズ・バンド「セブンス・リンク」。
• パフ…タックのバンド仲間。ドラム。
• アカ…タックが公園で知り合うトランペット吹き。タック達をジャズ好きが集まる会(『バード・ゲイジ』)に誘う。
• 糸井玄爾…会の場所(マンション)を提供する。横浜の『糸ノコとジグザグ』という店のマスター。
• 糸井伸子…奥さん。真珠のネックレスを盗まれる。
• アサミちゃん…『ジグザグ』の女の子。ハーフの容貌。
• 大貫…ジャズ評論家。
• 久保…ジャズ愛好家。殺され電車に引かれる。
• 菜村夏樹…『ジグザグ』の常連。セールスマン。会に遅れてやってくる。手品のようなことをする。
• 石岡和巳…イラストレーター、作家。
• 御手洗潔…占星術師。

「たった一度だけ不可解なるものに出逢った経験がありますよ。」と関根は部長に飲みの席で話し始める。今から7年前に変わった爺さんに会った。その爺さんは「尾崎善吉」と言い、『紫電改(しでんかい)研究保存会』会長であると言う。

戦時中に四国沖に墜落した戦闘機『紫電改』が偶然発見され、最近引き揚げられた。その『紫電改』にはパイロットは乗っていなかった。引き揚げられている最中に取材中のセスナ機が落ちて、パイロット含め記者やカメラマンも死ぬ。そのセスナ機のパイロット『橋本四郎』が三十年前のあの『紫電改』のパイロットで、その『紫電改』が見つかったことによって自殺したんじゃないか、と言う。

「あなたはその橋本四郎の遠い親戚ですよ。」「死んたカメラマンの吉田は友人の息子なんです。その友人の吉田はやっかいなやつだから、あなた方を訴えると言いかねない。私なら説得できるから、そのかわりあることを手伝ってくれませんか？」関根はそうしてこの変わったことに関わっていくが…。

• 関根…M新聞の英字部に勤める男。話し手。幸運の後ろに不運がいつもある人。
• 部長…関根の上司。飲みの席で話を聞く。
• 尾崎善吉…関根が七年前に会った変わった爺さん。紫電改研究保存会会長。関根に変わったお願いをしてくる。
• 橋本四郎…紫電改が引き揚げられたときに、近くで落ちたセスナ機のパイロット？
• 吉田？…セスナ機に乗っていたカメラマンの親であり、尾崎の友人。
• 御手洗潔…占星術師。

1987年の6月に御手洗潔と石岡はモナコを訪れていた。そこで大きな犬を見た。お腹のあたりの毛は薄茶色で、頭部や背中の毛は黒かったが、一部に銀色の毛が混じっているシェパードだった。その犬「グリース」を飼っていたのは、日本人の青葉照孝で御手洗潔の本のファンであり、金持ちだった。

日本へ帰ると、青葉照孝の妹の青葉淑子が御手洗に相談に来る。隣りにあったタコ焼き屋がある日突然無くなったというのだ。御手洗は全然乗り気ではなかったが、その時に婦人の飼っていた犬が殺されたことを聞くと、「その仕事、お引き受けしましょう」と引き受けることにする。

そこから、事件は動き、青葉照孝の子どもの康夫の誘拐事件が発展する。御手洗は事件を解決し、康夫を助けることができるのだろうか!

• 御手洗潔…占星術師で探偵。動物が好き。
• 石岡…御手洗の親友で助手であり、作家。
• 青葉照孝…モナコで知り合った日本人。多少なりともあくどいことをして財を築いたお金持ち。シェパード犬を飼っている。息子の康夫を妹の淑子に育ててもらっている。
• 青葉淑子…青葉照孝の妹。目が不自由で盲導犬を飼っていたが、盲導犬を殺される。康夫を育てている。
• 青葉康夫…照孝の息子で小学生。誘拐される。
• 竹越刑事…『占星術殺人事件』からの続けての登場。御手洗のことを「先生」と呼ぶ。
• 吉川刑事…竹越の後輩刑事。御手洗のことをうさんくさいと思ってる。