こんにちは、ただほんです。今日は「チーム・バチスタ」系の海堂尊先生の「イノセント・ゲリラの祝祭」をご紹介します。
イノセント・ゲリラの祝祭
あらすじ
厚生労働省のロジカル·モンスターこと白鳥圭輔から呼び出しを受けた田口公平は、医療事故調査委員会に出席するため、日本の権力の中心地、霞が関に乗り込んだ。たがそこで田口が目にしたのは、崩壊の一途を辿る医療行為に闘いを挑む、一人の男の姿だった!
本書裏より
何作目?
チーム・バチスタ関連は、広がっていてなかなか面白いです。
「輝天炎上」を読みたくて、調べたらやっぱり順番に読んでいったほうが良いようで…。
ヨーシ、順番に読もう!
ということで、イノセント·ゲリラの祝祭!
難解な小説です。
お馴染みの、田口公平が主人公で、厚生労働省のロジカルモンスター·白鳥圭輔、東城大学医学部付属病院の高梨病院長など、が出てきます。
メインは、『医療事故調·創設検討会』での話しです。
ずっと難しい話が続き、「解剖」について、「司法解剖」、「病理解剖」、「監察医制度」などの話しと、「AI(エーアイ)」などの説明が続きます。
最後の方は、ひねくれ彦根が厚生労働省や官僚、解剖至上主義の医師たちにかなり厳しく詰め寄って話していきます。
『医療丁』を創り、日本の医療を変えていこうとします。
元々の話の始まりが、ある宗教団体で行われていた子供に対する虐待死を、解剖無しで、問題なしで通そうとしたところからです。
(本当にあった話を少し変えているみたいです。)
解剖について
解剖についての説明、難しいですね。
解剖自体が行われているのが、2割ほどしかないのにもびっくりですが、
現実的には全部を解剖するのは無茶ですね。
そして、本書で書かれている「心不全」という死因名は、実は「死因不明」だということ。
ある老人ホームでのこと
僕がある老人ホームで働いていたときに、ある職員が食事介助をしていて、利用者の喉に食べ物を詰まらせて、死亡させた事故がありました。
明らかに施設側のミスでした。
しかし、その死亡診断書には「心不全」と書かれて終わりました。
窒息死じゃないの?
心不全?
病院と施設は深い関係があったので、なかったことになりました。
実は記録も改ざんされていて、「窒息」と書かれていたのが消されました。
あってはいけないことですが、施設は裁判を恐れるので、隠しますね。
「心不全」なかなか使い勝手の良い言葉ですね。
怖いです。
東京都23区内外の死体
「東京都23区内の死体」「東京都23区外の死体」面白かったです。
場所が変わることで扱いが変わるとは!
白鳥さん、死体動かしたらだめじゃないですか!?
でも、それによって管轄によって扱いが違うこと、死因不明で調査されずに処理されてしまうことが分かりました。
まさか、「溺死」が「心不全」になっちゃうなんてね。
加納警視正は言っています。
「陸の上の溺死、ねえ。こんなもんに心不全だなんて診断書を平気で書くもんだから、日本はコロシ放題の国になっちまったんだ」
本書より
彦根も言っています。
「実はこれまでは医師の裁量で何とかごまかしてきたんです。医師は、慣例で死亡診断書をいい加減に記載してきた。それが解剖に費用捻出されない、日本における誠意ある対応だった。心不全という診断は死因不明と同義。そして心不全、呼吸不全という診断が大多数を占める日本は公衆衛生医療の後進国なんです」
本書より
そういったことがないように、解剖できない死体のCTをとり、死亡診断していくこと、絶対に必要です。
主人公·田口先生は、その会議で、彦根により動かされて、うまく話を導きます。
そして、最終的には火喰い鳥·白鳥圭輔が着地点を決め終わらせていきます。
次の舞台は、エーアイ·センターですかね。
ただほんのゆる~い書評
とにかく、この小説は、ミステリでもなく、盛り上がりもないので、読むのが大変でした。
興味深くはありましたが…。
「チーム・バチスタ」のときにも、エーアイは登場しましたし、解剖は、「螺鈿迷宮」で、かなり際どい感じで描かれていました。
自殺志願者を、殺して、解剖に回す。
そんな話でしたか。
そして、その病院が燃えてなくなってしまったので、桜宮市では解剖医が足りなくなっているという話でした。
繋がっていて興味深かったです。
「螺鈿迷宮」の続きの小説、「輝天炎上」の主人公·天馬大吉に早く会いたいですね。
とにかく、う~ん、難しかったけど、興味深かった、これが感想です。
「ではいよいよ、僕たちの闘いを始めようか。シオン。敗北へと向かって突き進む、必敗の闘いを、ね」
本書より、彦根のことば
どういうこと?
ほんとに、次も楽しみです!
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